EX Rigid Indigo
Aug 11, 2024
昨年の8月頃。長年を過ごしていた東京を離れ、広島は尾道に拠点を移した佐藤さん。この24AWが移住後初めてのコレクションとなるのですが、展示会場を訪れた瞬間、言葉で伺うまでもなく移住の成果を目にしました。
「デニムがありますね。」
買い付け内容の違いで他店様より一足遅れ、ようやく届いたsatouからの第一便。
特に狙ったわけではないし、別注と言うほど仰々しいものではないのですが、24年秋冬は当店特別仕様のデニムが旗手を務めます。なんだか幸先が良い。
日本国内で三大と指折られる広島の備後デニム。西と言えばの堅牢なデニム。このデニムを素材に柔道着のイメージを重ねる。膝当てに内布を貼り、補強用のステッチを走らせた"denim dougi pants"。謂わば、日本式のダブルニーデニムみたいな、satouらしいリファレンス。仕上げに製品加工でエイジングを進めることで、縫製箇所や生地の凹凸にアタリを付ける。膝の補強糸がより鮮明に見えてくる。
これがインラインの仕様です。
「西に行くとやはりデニムを作りたくなるんですねぇ。」なんて会話を交わしながら、触れているうちに、試してみるうちに、ふと疑問が浮かんだ。皆々が着用を続けた先の経年変化はこんな風になるのだろうか。自分であれば、脚を組む癖があるから左右非対称に腿が擦れるだろう。ポケットにはiPhoneや財布の跡が残るだろう。裾に折り目がつく人もいるだろう。踵だけが擦れる人もいるだろう。ポケットに手を入れる人はポケット口のアタリが強くなるし、ベルトで絞る人はウエストにムラがでるだろう。そんなことを考えているうちに、なんだか最近は生デニムを育てたい気分だったことを思い出した。また一周回って訪れた育み欲求。
「これ、リジッドであげることは出来きますか?」
今回、佐藤さんが選んだ備後デニムは茄子紺のように黒々としていて堅く、仄かにドレストラウザーにも似た厳格さが漂う。経年変化の後に出てくる青さは皆さんが想像するような深いインディゴに変わるのですが、この原初にしかない厳しさを楽しみたく、その重たい表情が徐々に丸みを帯びていく様子を観察したい。卸したては足元にレザーを合わせてクラシックに、ややドレスに。少しずつこなれて膝のステッチが徐々に現れる。少しずつワーキッシュに移ろい、少しずつスニーカーが似合うようになる。
5年、10年と履き込んで、自身の所作や癖、歩き方、座り方を写すように現れる表情の違い。MY VINTAGE。ロマンを感じて欲しい。
冒頭の通り、何か特別に手を加えたわけではありません。製品加工していない分、手間が減ったという捉え方も出来ます。その代わりに、生まれたままの生地から少しずつ自分の色を付けていく経験を楽しんで頂きたい。僕ら世代には懐かしさを、若い世代には新鮮な楽しさを。
当店の入荷分はリジッドのみなのですが、比較用としてインライン用のサンプルを貸して頂きました。比べた上で加工済みの方がお好きな方は、他の取扱店様にお伺い下さい。リジッドから長くお付き合い頂ける方は、ぜひ当店でお願いいたします。
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𝐂𝐎𝐄𝐋𝐀𝐂𝐀𝐍𝐓𝐇
𝐴𝑜𝑦𝑎𝑚𝑎 𝑂 𝐵𝑙𝑑𝑔 2𝐹 201
2-3-3 𝑆ℎ𝑖𝑏𝑦𝑎 𝑆ℎ𝑖𝑏𝑢𝑦𝑎-𝑘𝑢, 𝑇𝑜𝑘𝑦𝑜.
0343354224
[ 𝑜𝑝𝑒𝑛𝑖𝑛𝑔 ℎ𝑜𝑢𝑟𝑠 ] 1 𝑝.𝑚. - 7 𝑝.𝑚.
[ 𝑡𝑢𝑒, 𝑤𝑒𝑑 ] 𝑎𝑝𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑜𝑛𝑙𝑦.