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奥深く、工芸品のように美しい眼鏡 - 七六

 


 

 

 

良い眼鏡をかけると自然と背筋が伸びる。

鏡の前に立てばいつもとは違う自分が映り、なんだか外見だけでなく意識まで変わってしまったような錯覚を覚える。

いつもより大人びて見える。思慮深く見える。ペンを片手に原稿用紙を取ればそのまま本を書き上げられる気がしてくるし、方眼用紙があれば建築設計まで出来る気がしてくる。

 

それくらいに、眼鏡は人の印象を描く力を、変える力を持っていると思う。

ファッションの中で最も分かりやすく急激に、新しい自分を見つけられる存在。普段とは違う自分で過ごす真新しさ。大きく気分を切り替えた1日はきっと面白いに違いない。

 

 

 


昨年末よりお取り扱いをさせて頂いている、"七六 : ナナロク" というブランドの美しい眼鏡。

神戸の名アイウェアショップ "折角堂" のオリジナルブランドです。世界中、沢山の眼鏡に触れ、優れた選美眼を持つ店主の高橋さんがデザインを起こし生産する眼鏡。

 

チタンが席巻する市場の中で、七六の眼鏡には「サンプラチナ」という日本生まれの素材が用いられる。1930年代、戦前の日本で開発された、古来の奥ゆかしさを感じる合金。

このサンプラチナを "無垢" のままに作り上げる。メッキによる余計な化粧は施さず、古来の金属そのものが持つ美しさを知ってほしいという想いを込め、丁寧に磨き上げるのみで製品とされる。

手にした時は白く流れるように光を返し、使い込むにつれて徐々に擦れ、細かな傷が入り、燻みを見せる箇所も現れるだろう。

そうやって少しずつ「自分の物」になっていく。流行り廃り、短期的な気分やムーブメントに流されづらい身近なプロダクトだからこそ、そういった趣きがありがたく、粋に感じてしまう。

 

 


 

 

 

今や眼鏡も分業で生産される現代。リム、テンプル、ブリッジとそれぞれの担当者が作り、最後に組み合わせるのが主流。

一方で、懐古的な金属を用いる七六は製法も伝統的。熟練の職人さんが一人きりで全ての工程を担って作り上げる。

 

製造方法は手曲げ。チタンよりも柔軟で粘りがあるサンプラチナの特徴を活かし、全て手仕事で直線・曲線を描き成型していくのだそう。

一人で一から十までの工程を担い、人間の手で曲げて作っていくことはとても非効率だろう。でもきっとそこには、熟練の感覚だけが成し得るバランスや調律があって、それが美しさにつながるのだと思う。

僕も大学、大学院と一時期は宝飾の道を志したことがあるから少しだけわかる。そこには長年集積した経験からしか生まれない領域がある。データやプログラムを超えた、常人には到底わからない触覚がもたらす感覚がある。

 

物質的美しさと共に、大きな浪漫を感じるのは絶対に僕だけじゃないはず。効率化を求めた製法やマシンメイドが溢れるこの時代において、まさに "金属工芸" という言葉がしっくりとくる。

 

人ひとりが丹精込めて自らの手で作り上げる。とても格好良いじゃないか。

 

 

 


 

 

 

一見では古風でありながらも、ユニークにバリエーションを揃えたリム。

美しい曲線を描く潔い一山のブリッジや、クラシックな作り方をしたノーズパッド。パーツの設計にも抜かりない拘りが見える。

引き算を重ねて余計な装飾は取り払うことでソリッドな無機質さを宿し、古来からの素材と浪漫溢れる製法の美しさを讃えているよう。

近づけば近づくほどに見惚れてしまいます。

 

 

気温が上がり、花見を終えて、いよいよ迎えた春本番。

新生活をより豊かにしてくれる "奥ゆかしく美しい眼鏡"。

いくつかバリエーションをご用意していますので、ぜひ店頭でお気に入りの一本をお探し下さい。

 

 

 

 

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