EX SOLID BLACK | obafer




数年は着ておらず、何処にしまったかもわからないのですが、古着で見つけたお気に入りのニットジャケットがあります。確か、1960-1970年代頃のチロル地方で作られた物で、硬いウールを編み上げ、カーディガンとニットジャケットの違いを明確に分け隔てたような身なりをしていました。ファッションの領域ではなく、恐らくはワークウェア、もしくは普段使いの防寒着として作られたのだと思います。屈強な男の為に用意されたのか、幅広くサイズ展開がなされていたのかはわかりませんが、そのニットは大層に大きく作られていて、肩が出っ張って、重みで少し落ちて、腕周りはとことん太く、腿を覆い隠すような丈と、大きく膨らんだ身頃が新鮮で、敢えてこのサイズを着る格好良さを感じました。

 

展示会でobaferのこのニットコートを着た時に、なんだか懐かしく感じた感覚。記憶を辿ると、その古着に行き着きました。編みは甘く、それでいて逞しい糸使い。ずんぐりと大きく、守られているような安心感がある。古い時代の非効率さが垣間見える一方で、この時代にファッションウェアとして作られた洗練を纏う。着せられているようにはならず、すんなりと身に収まった形。大きいけれど身体に寄り添った愛嬌、包み込まれているような安心感がある。太く長い袖を厚めに巻いて、インナーの袖先を覗かせる着方も洒落ている。175cmでも161cmでも、それぞれがそれぞれの形で似合う。

 

インラインで展開されていたのは、ウルグアイウールの凹凸を活かしたスラブヤーンに、シルクとナイロンを合わせたネップの散ったもの。カラー展開はピンク、ごま塩のようなチャコールとブラック。そのままでも素晴らしい仕上がりだったのですが、懐かしさを追い求め、ウールだけの単色単素材で編んだ混ざりの無いブラックが着たいとお願いしました。普段は大好きなシルクネップを断腸の思いで削ぎ落とす代わりに、スラブヤーン本来の不規則でなだらかな凹凸が全身を覆い尽くす。製品後に縮絨をかけることで、油分を含んだウールの艶が糸の抑揚に合わせて浮かんで沈んでを繰り返し、明暗を分け、黒一色の中で立体を築き上げる。広い身頃に大きな皺が寄って、着物みたいに太い袖が段々と弛んで、糸の表情が鮮明に映る。そこに一筋、鈍色のEXCELLA。obaferらしい優しさもあり、obaferらしくない無機質さも含んでいる。




 

 

 

カットソー、ニット、シャツ、時にはジャケット。スラックス、デニム、カーゴパンツ。クルー、タートル、V。何に合わせても良い。糸の表情と覆い隠すような大きさが、全身を成立させてくれる。寒い日には取り敢えず、これを羽織ればなんとかなる。弾むような弾力と柔らかな肌当たり。ふっくらと肩に載る心地好さ。膨らみの強いウルグアイウールのロービングと縮絨がもたらす恩恵は、袖を通す瞬間から肌に伝わってくる。重力はおよそ2.3kg。腕に抱えるとずっしりと負荷をかける重さも、身に纏うと然程ではなく、信頼し得る暖かさへと繋がる。偏見は重々承知の上で言うけれど、男は重い服が好きだ。屈強な服が好きだ。アウターになれば尚のこと、この質量には引力がある。

 

 

 

 

 

 

今回は受注形式にてオーダーを募ります。お届けは寒さが充分に満ちるであろう12月中旬頃。お楽しみにお待ち頂けるかと思います。生産に時間を要する為、受注枚数次第では早期での締切、お届けは先着順とさせて頂きます。オーダー期間は10月3日(土)から、10月11日(日)まで。オンラインは10月4日(日)の20時から店頭先行とさせて頂きます。オーダーには30%以上のデポジットが必要となりますので、予めご了承下さい。

 

 

 

 

obafer exclusive for coelacanth

Slub yarn knit coat "SOLID BLACK"

wool 100, size free.

jpy 96,800- tax included.

 

pre-order 10.03 sat - 10.11 sun (online 10.04-)

 

 

 

別注についてアナウンスしなければならないのに、身内でめでたいことがあって酒が進んでしまった今、家に入って横たわりたい気持ちを堪え、軒先で夜風に当たりながら缶チューハイを片手に書いております。お陰様でまとまらずに間伸びして、ブログへと昇格です。おめでとう。こんな砕け切った文章も身内ノリみたいで見苦しいのは承知の沙汰ですが、この時代に於いては本当に興味のある方がのぞくクローズドな場所なのだろうと思い、恥じらいつつも赤裸々に、等身大で残しておきます。

 

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