温かく寂しげに揺れる

 

気温もすっかりと落ち着いて、秋晴れの街路を歩くのがとても気持ち良い。夜風なんかはともすると寒さを感じるくらいで、待ち焦がれていた秋の訪れに嬉々としています。

皆様の洋服との接し方も九月のそれとは大きく異なって、触れることすら躊躇っていたニットや毛織のコート、トラウザーも嬉しそうに試着してもらえるから僕もまた楽しい。

季節の節目をここまで喜べるのは、僕ら着道楽だけかもしれない。それくらい、洋服を着ることが心を弾ませる季節です。

 

娯楽の筆頭に洋服を挙げる皆様の秋冬をもっと楽しいものにしたく、僕自身も同じようにもっと楽しむべく、今季も松岡さんに我儘を言ってしまいました。エクスクルーシヴです。

 

 

 

 

 

パンデミック、世界情勢、円安。原料、工賃の高騰から上がり続ける商品価格に対抗し、如何にコストを抑えて洋服を作るかという企業努力をひしひしと感じる昨今のアパレル業界。そんな渦中にも関わらず、「なんかやりたくなったから」という純粋無垢な理由からコレクションの殆どをオリジナルテキスタイルで仕立ててきたYUTA MATSUOKA。ぶっ飛んだ動機と行動から開発された生地は、もちろんクオリティもぶっ飛んでます。

 

 

 

 

 

中でも惹かれたのが、尾州で長い歴史を持つ生地屋と協力して開発したという、粗い平織のウールリネン。

経糸に使った欧州のリネンは一度撚糸してから染色。染色後に撚りを解くことで、染料の届かない内側の糸が白いままに残り、意図的に染めムラを見せる。緯糸にはニュージーランドの有色ウールを無垢のまま糸にすることで素材の良さを殺すことなく、毛に付着した藁が見えるほど羊本来の温もりをしっかりと感じる。

自然由来の荒さと温かさ、ザラつきと柔和、穏やかな哀愁。秋と冬の香り。多様な質感と触感、風情と感情みたいなものを含ませたような複雑な風合いが、すごくYUTA MATSUOKAらしい。

 

 

 

 

 

インラインではコートとジャケット、ホックパンツ、ウィメンズのエプロンドレスに使われていたこの生地で、大好きなバギーパンツを仕立ててもらった。素材の異なりから生まれる糸のコントラストを強める為、無理を言って裾はフリンジの仕様でお願いしました。すごく面倒だっただろうなこれ。本当にありがとうございます。

 

モコモコと不均一に肌を隆起させるウールは、仄かに憂いながらも温かいダークブラウン。白と灰色の斑なリネンが寂しげに顔を覗かせる。バギーパンツの大きな生地面積に連動して、ふわふわとフリンジの揺れる様子がとても素敵。

 

履いて鏡の前に立った姿を見て拍手喝采。秋も冬も夢中になって楽しめる素晴らしいパンツが出来た。

 

 

 

 

 

フォークロアみたいな土臭さのあるフリンジは男性衣料には珍しい気がする。足を交差するとロングスカートにすら見える。スカート履くのには抵抗があっても、フリンジバギーは大丈夫。実際に履くと、歩き出してみると、本当に楽しい。低めに履いてフリンジをクッションさせても良いし、高めに履いてソックスを覗かせても良い。あとはブーツ。冬はやっぱりブーツを履きたくなるから、革の表情に負けない風合いを纏いたかった。

 

暖簾みたいにユラユラワシャワシャと揺れる面白さは他に類を見ない。唯一無二の格好良さ。

秋と冬には暖かく毛を揺らし、春の訪れにはそよ風を喜べるようなバギーパンツ。硬いジャケット、厚いニット、重たいコート、軽やかなシャツ。なんでも調子を合わせて、でも新しい楽しさを与えてくれるはず。

 

共地で作られたローブみたいなコートは当たり前に合うし、ヨーコさんの大きなブラックツイードもすごく似合う。

 

誰にでも気に入られるものではないだろうけど、思っている以上に人を選ばない。娯楽には必要不可欠な冒険心と挑戦。世の中には希薄なパンツだからこそ面白いし、履いたことのないパンツを自分のスタイルに落とし込み、物にしていく時間は楽しさに溢れます。

 

叙情を感じる秋の景色、冬の寒さ、春を迎えた時の気持ち良い風。

季節ごとの風情を味方に、楽しんで頂けると嬉しい限りです。

 

店頭には陳列済み。ONLINEは手が空いた時に掲載しようと思っているので、通販でご希望の方はご連絡下さい。

いつもながら少量の生産ですが、よろしくお願いします。

 

YUTA MATSUOKA Exclusive for COELACANTH - Fringe baggy pants, Natural wool linen - 69,300- taxin.

 

___________________________________________

 

𝐂𝐎𝐄𝐋𝐀𝐂𝐀𝐍𝐓𝐇

 

1500002

𝐴𝑜𝑦𝑎𝑚𝑎 𝑂 𝐵𝑙𝑑𝑔 2𝐹 201

2-3-3 𝑆ℎ𝑖𝑏𝑦𝑎 𝑆ℎ𝑖𝑏𝑢𝑦𝑎-𝑘𝑢, 𝑇𝑜𝑘𝑦𝑜.

 

[ 𝑜𝑝𝑒𝑛𝑖𝑛𝑔 ℎ𝑜𝑢𝑟𝑠 ] 1 𝑝.𝑚. - 7 𝑝.𝑚.

[ 𝑡𝑢𝑒, 𝑤𝑒𝑑 ] 𝑎𝑝𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑜𝑛𝑙𝑦

 

営業時間外でもご連絡を頂ければご案内が可能です。

onlineに掲載のない商品の通販をご希望の方は、DMよりお気軽にご連絡下さい。