Fujimotoというブランド

 

 

【感動】

「ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること。」

 

大人になって、この意味通りの感動を覚えたことはあるだろうか。

春頃。入浴中にファッション情報の収集をしていた時、SNSで見かけた一つのブランドが突き刺さった。

 

それが、今季よりCOELACANTHに並んでいる、Fujimotoというブランド。

 

 

 

 

自然の逞しさと無情さを描いたようなランドスケープと共に、自然に呼応して共存するかのように載せられた少数のLOOK。

プロフィールページにはブランドが立ち上がったばかりだという情報しかない。

official siteのURLすらない。なにも示唆されていない。

 

どの投稿を見ても、何の情報も得られない。その匿名性に更に掻き立てられる。なんなんだこのブランドは。

 

まさに【感動】していた。画面上のイメージだけでここまで衝動的に高揚したのはいつぶりだろうか。

 

 








 

当時のFujimotoのSNSフォロワーは100人強。まだ誰も知らないブランド。その少ない数の中でANCELLMのデザイナーがフォローしていることに気付いた。

 

熱量そのままに即連絡。

「ご存知ですか?お知り合いですか!?」「紹介して下さい!」「直接見たいです!」といったやり取りを経て、Fujimotoとのアポイントを得ることが出来た。

 

どんなデザイナーだろうか。すごいベテランか、はたまた若き天才か。ブランディングからその二択だろう。そしてすごくクールな人だろう。

約束の時間、約束の場所で初めてお会いした藤本さん。超ロン毛。少しエキゾチック。結構気さくだし、あどけなく笑う。そしてまさかの同い年だった。ギャップしかない。

 

挨拶を交わし、ここまでの経緯を話し、藤本さんのキャリアやファッションルーツ、ブランドのコンセプトといったお話を聞いた。ラックに吊られた洋服たちを横目に、結構長いことお話させて頂いたと思う。

Fujimotoの核となる部分を知り、ようやく洋服に触れる。正直に言うと、少し不安だった。画面上で見た美しさから始まり、言葉を聞き、ハードルが上がり過ぎている。

椅子から立ち上がり、並んでいる洋服たちへと近づく。触れるまでもない、近付いただけでそんな不安は払拭された。

 

藤本さんの口から発せられた数々の想い。強い思想。静謐で匿名性の高いブランドイメージとは裏腹に、随分な熱量がある。熱を持っているということは、それだけ服作りに投影されるはず。

 

まさにその通りだった。

 

 


 

デビューシーズンとなる1stコレクション。

 

藤本さんが敬愛する詩人 宮沢賢治と、1970-1980年代に活動していたイギリスのパンクバンドCRASSから着想を得ている。

一見相容れることのない二者の存在だけれど、共通項として「自給自足の生活」が挙げられるのだと藤本さんは言う。

自然を愛し、自給自足の生活を志した宮沢賢治と、アナキズムから自給自足の生活を行っていたCRASS。

彼らの愛する「自然」に敬意を払い、コレクションの90%以上に天然素材を使用している。

 

 


 

 

彼らの愛した自然そのものの力強さ、土臭さ、彼らの人間らしさと、それをリスペクトする藤本さんの人間らしさ。

自然味や素朴な風合いはそのままに、パンクカルチャーと溶け合わせることによって局所にエッジが立つ。相容れないような様々なファクターが噛み合って、今までに見たことのないバランスが構築される。

内包していた要素を聞き、咀嚼し、とても概念的に感じていたコレクションの輪郭がよりはっきりと見えた。

 

今の時代、オーガニックやサスティナブルを声高々に謳ったブランドは沢山あるし、コンセプトやビジュアルファーストすぎるブランドも沢山ある。

Fujimotoはその前者でも後者でもなく、洋服と長く向き合ってきた経験や生産への信頼と感謝、そして強い思想を持って、丹精に服作りをしている。

 

 


 

 

最後に、今回のLOOKがとても印象的で心を動かされたことを伝えた。

 

今までのキャリアの中でかなりの数、所謂ファッションシューティングに立ち会ってきたからこそ、自身のブランドでは違うことをやりたかったのだそう。

そこで今回はドキュメンタリーを撮るカメラマンに依頼し、モデルの自然な表情と感情を映し出すような撮影を行なったのだと言う。

 

世界観が僕の敬愛するバンド”sigur ros”と似ている気がしたと言ったところ、藤本さんも今回の制作中にずっとsigur rosを流していたのだそう。

局所的だけれど好きなものの共鳴。同い年。Fujimotoの世界に深々と飲み込まれていく。

 

COELACANTHに足を運んで頂ける方は、やはりどこかしら共鳴しているんだろう。既にFujimotoにも良い反応を頂いていて、僕があーだこーだと言葉にする以前に手に取って頂けることも多い。

そんな共鳴や共感から、一人でも多くFujimotoの世界に突き落としたいと思っています。だからまずは見に来て下さい。

 

 

最後に告知です。

 

藤本さんからCOELACANTHに立ってみたいというありがたいお言葉を頂いた為、今週末、12月3日(土)、4日(日)の二日間で藤本さんに在店頂くことになりました。

せっかくなので2023SSコレクションを一部展示させて頂き、お客様ともお話して頂こうと思っています。

既にFujimotoに飲み込まれている方、少しでも気になっている方、ぜひこの機会にご来店下さい。

 

 

会期

12月3日 (土) - 12月4日 (日)

OPEN 12:00 - 19:00

 

at COELACANTH

150-0002

東京都渋谷区渋谷2-3-3 青山Oビル 201

 

エントランスフリー。

ご来店のご予約などは不要ですので、お気軽にお立ち寄り下さいませ。

 

 

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