鉱石のような ex for us by ANCELLM

 

 

 

怒涛の展示会時期を駆け抜けて、ようやく一息つけるかというところで催事やら別注やら別拠点やらと忙しなさが増しました。私の安息の地は何処へ。いや、そのようなものはこの歯車が動き出した時点で望んではいけないものなのでしょう。

と、いうわけで皆様のお陰で毎日楽しく過ごさせて頂いております、ありがとうございます。

 

先日、顧客の一人から「顧客は全員、田島さんのBLOGを楽しみにしていますよ。」なんて言葉を頂戴したので、久しぶりにカタカタカタカタと音を鳴らしております。最近ではBLOGの代わりにSNSの投稿を文字数多め、やや私的な感情を込めながらやっておりましたが、こうやって書き始めてみるとBLOG特有のクローズドさと言いますか、「本当に好きな一部にしか見られていない感」が強くて、ああ、なるほど、こういうことかと感じています。このような荒唐無稽と言いますか、作法がなってないと言いますか、そんな文字の羅列に価値を見つけて頂き嬉しい限りです。

 

本題はANCELLMに依頼していた夏の上下。GWに差し掛かる頃の万全のタイミングで届けて頂きました。

 

 

 

 

 

 

ANCELLMの2022SSにて登場した「OVERSIZED SHIRT」という品番があった。僕がANCELLMのシャツで一番好きだった品番。2022SSではヴィーガンスウェードと馬布、2022AWではリネンスウェード、2023SSでは近江晒で製作され、シャツでありながら羽織りとしての機能を合わせたひたすらに大きなフィッティングがとても好みだった。

この頃から相変わらず入荷してはすぐに買い手の決まっていくANCELLM。僕が手にできたのは22AWのリネンスウェードだけで、それも小さな不良箇所が見つかったからようやく手にできたのですが、3年近く経過した今でも変わらずによく着ていて、よく褒められる。それ、どこのシャツですか?なんて。

 

22AWで身をもって良さを実感したからこそ、23SSの近江晒もすごく欲しかった。欲しかったけど2日で売り切れた。そして、このコレクションを境にOVERSIZED SHIRTは姿を消してしまった。

 

この日から展示会の度に「なんでやめちゃったんですか」とか「あのシャツ好きだったのに」とか「また作ってください」とか言い方様々にお願いして2年。山近さんが僕の願いを汲んだ割合は少ないだろうけれど、結果的に願いの叶った"2025SS DYED SHRINK OVER SHIRT"としての復活。生地には、あのとき買えなかった近江晒。インラインも十分に良い。ANCELLMらしい淡いカラーが美しい。文句も惜しさも微塵もない。が、せっかくこの機会が訪れたんだ、と気持ちだけが先行して我儘を言いました。

 

インラインの淡さとは違う、COELACANTHっぽい濃色、もしくは墨のように燻んだ黒。夏にだって涼しげに重たい色を着たい。美しい淡さではなくて厳しさのある濃さ。無機物のような硬さ。そんなイメージを伝えた気がします。近江晒の特性上、黒に染めることは難しいそうで、選ばれたのは最大濃度。加えて、夏に軽々と動けるセットアップを組みたく共地のスラックスも依頼。

 

 

 

 

 

 

カラー名はBLACK。ですが世にある名前で説明出来ない色だと思います。端的に言えば灰色だろうか。しかし白茶けていて、眺めていると茶色がかったり緑がかったりと印象を変える。艶無く仄かに毛羽立った近江晒の肌質と、細かな皺の凹凸。多様に映る色ムラが相まって、多くの地質が混ざった鉱石のように見える。自然素材から日本の歴史が生み出した素朴さと、無機質で威厳のある深い色。重苦しい印象を見事に裏切る実質的な軽さ。本当に想像以上の色だった。濃度的に染め上がり時点のムラが弱く、最後にスプレーで表情を付けたそう。この唯一無二さに納得がいった。

 

スラックスにはANCELLMのアイコンとして膝を裂きました。ただ、大人のお客様が多い当店、膝が出ると着づらく感じる方も多いでしょうと、もう一枚共地を付け、裂け目からまた同じ生地が覗くというマトリョーシカ的遊びを取り入れて頂きました。真夏を想定しているので通気性を向上させた仕様ですが、物足りない方は中の生地までハサミで切っちゃって大丈夫です。暑ければクシャクシャに袖を巻いて、サンダルでもレザーシューズでもスニーカーでもご自由に。中はANCELLMやOlde Homesteaderのタンクトップ、Fujimotoや古着のプリントTee。色が渋いので何にでも。

 

 

 

 

 

 

何着ても、何しても暑い昨今の日本の夏。我慢できない暑さだけどお洒落も楽しみたい。結果としてフィッティングをルーズに余白を作り、通気性を向上させる。生地のウェイトを削り、肌離れを高め、風に靡かせる。スペックもルックスも想像を何倍も超えた別注となりました。

 

 

 

 

 

上下共に2サイズの展開。シャツは大きくが理想なので2がおすすめ、スラックスは長めなので大半の方は1で大丈夫。175cmくらいからは2も検討してみてください。着用写真は175cmが上下とも2です。

店頭、オンライン共に4月26日の13時から。在庫を分けて販売させて頂きます。

 

気候的にも一番楽しい春の連休。即戦力で心地良く、恰好良くお楽しみ頂ける自信があります。是非、お試しください。

 

TEAM ANCELLMの皆様、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

DYED SHRINK OVER SHIRT EX

col BLACK / size 1,2

price jpy 35,200- tax included.

 

DYED SHRINK WIDE EASY TUCK SLACKS EX

col BLACK / size 1,2

price jpy 39,600- tax included.

 

available 4.26 sat 1 p.m.- in store and online.

 

 

 

余談。狙ったわけではないのですが、オフィシャルステッカーとすごく似た色でした。

올드
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