barbell objectというアノニマスなブランド


 

 

 

 

今年の初春、Instagramの中で届いた一通のDM。「23FWより始動するブランドでして、ぜひ御社にご覧頂きたい気持ちがありご連絡させて頂きました。」

そのままプロフィールを拝見すると、洋服の形すらわからない写真にロゴを載せたポストが数枚掲載されているのみ。詳細不明の極み。そっと画面を閉じた。

 

 

 

数日後、次はメールが送られてくる。「1期目で実態や情報が少ないデメリットは承知しておりますので、本来控えたい事ではありますが、プロダクトシートを添付させて頂きます。」

最初からそうしたらいいのになんて思いながら、あまり期待もせずに添付されていたファイルを開く。現れたのは、意匠とプロセスのみっちりとした記述。良いところだけをさらって美化するわけでもなく、デメリットまでを記載した上で慎ましく綴られていた。洋服に対する強い情熱と、プロダクトやクライアントに対する実直さが透けて見えた。

すぐさまに展示会への来場希望を連絡しメーラーを閉じる。もう一度「最初からこうしたらいいのに。」と思った。

 

 


 

8月5日(土)。

名店を揃えたSTOCK LISTの元で、いよいよbarbell objectがベールを脱ぎます。

 

ベールを脱ぐとはいえブランドがローンチされるのみで、内情に関してはあまり語らないように口を封じられています。それがbarbell objectの魂。キャリアや生産背景を抜きに、成果物のみで戦うという誤魔化しのない戦いを挑んでいます。

 

 

 


 

 

1st Deliveryで届いた黒いキャンバスのカバーオール。

屈強な8号帆布を硫化で染めバイオにかける。パイピングには敢えてウールをあしらい、加工工程で不規則にパンクする。トップボタンにはクラフトマンメイドのSILVER 925。その下に連なるのは手彫りの水牛ボタン。退廃的な空気感に一点だけ硬い光が差し込み、アナログな土臭さと温かみに繋がる。

 

試験的加工、トライアンドエラーを繰り返し意匠とプロセスとロードマップみたいなものを紐づけていく。「格好良い洋服」が当たり前となった現代のファッションシーンの中で、より強い喜びをもたらす為の遊び心と愛着を獲得する為のファクターを抜かりなく付属させていく。

 

長く付き合うことで至る所が顔を変えていく。硬い素材が馴染み、過ごした時間の分だけ自分の物に変わっていく。

 

 


 

 

展示会場に入った瞬間から買い付けを決めていたくらい、一目で服の持つ力が伝わってきます。感情が宿ったようなプロダクト。重苦しくて静謐で厳格。初めて会う恋人の父親くらい威厳がある。

 

昨今のブランドの殆どが性別の垣根を取り払う中で、ここまで土臭くて雄々しい物は珍しい気がする。ドイツの工業製品のような堅さと無機質さ、真面目さ。相反するような挑戦と結果として現れた洗練。

 

 

 


 

 

文章や写真ではなく物に触れた上で評価して頂きたいので、あまり説明的にならないように堪えます。より細やかな意匠は店頭でお伝えしますので、まずは対峙してみて下さい。迫力に気圧されると思いますが、少しずつ自分の物に育てて下さい。

 

組下となるオーバーパンツとハイゲージウールのトップスもご用意がありますので、共にお確かめ下さい。

 

 

barbell object - 2023FW 1st Delivery

 

- canvas piping jacket

- canvas sack trousers

- wool L/S top

 

Drop 8.5 sat 12 p.m.- / online 8.11 fri-

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